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東京地方裁判所 昭和56年(ワ)7672号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【主文】

一 被告は、別紙目録表示の形状のぬいぐるみを製造し、販売し、販売のため展示してはならない。

二 被告は、原告に対し、金六八二万円及びこれに対する昭和五六年七月一八日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

三 原告のその余の請求を棄却する。

四 訴訟費用は被告の負担とする。

五 この判決は、第一項及び第二項に限り、仮に執行することができる。

【説明】

当事者の主張は、次のとおり。

「一 請求の原因

1 原告は次の意匠権(以下、「本件意匠権」といい、その登録意匠を「本件意匠」という。)を有する。

登録番号 第三一〇七八一号

意匠に係る物品 動物おもちや

意匠の構成 別添意匠公報に示すとおり

出願 昭和四三年二月九日

登録 昭和四五年二月一六日

2 被告は、別紙目録に表示した形状のぬいぐるみ(以下、「被告製品」という。)を製造し、販売し、販売のため展示している。

3 被告製品の意匠は本件意匠と同一若しくは類似である。」

【判旨】

一請求の原因1の事実、及び同2の事実中、被告が過去において被告製品を販売し、販売のため展示したこと及び同3の事実は当事者間に争いがなく、また<証拠>によれば、被告が将来において被告製品を下請等を使つて製造し、これを販売し、販売のため展示するおそれがあることが認められる。

二原告が被つた損害について判断する。

1 被告製品一個の販売価額が二九八〇円であることは当事者間に争いがない。

<証拠>によれば、被告はぬいぐるみ及びいわゆるアイデア商品を業として販売する会社であり、被告製品を含めた全商品の売上額は昭和五四年四月から同五五年三月末までの間については二億二二一五万七五八一円、同五五年四月から同五六年三月末までの間については四億九九二万六八七三円であること、及び同五六年四月から同五七年三月末までの間の売上額は三億六四五万四〇四六円であるから、同五六年四月、五月分の売上額は少なくとも合計五〇〇〇万円と推認するのが相当であること、したがつて昭和五四年四月から同五六年五月までの被告の全商品の総売上高は六億八二〇八万四四五四円であることが認められ、右認定を覆すべき証拠はない。

<証拠>によれば、被告は、昭和五四年四月から同五七年五月末までの間、被告製品も含めて常時一五ないし二〇種類のぬいぐるみ及びいわゆるアイデア商品を販売していたこと、主な取扱商品のうちぬいぐるみの占める割合は七〇パーセントであつたこと、右期間中売行きが悪い商品は新製品に切換える等してその個々の取扱い商品は時期により移り変つていたが被告製品は右期間中引続いて販売されていたこと、被告製品は「スヌーピー」の名称でわが国において広く親しまれている小犬のぬいぐるみであり、被告の取扱商品中にはスヌーピーに匹敵する程著名なキャラクター商品は存しないことが認められ、その事実と<証拠>及び本件につき当裁判所が意匠法四一条の規定に基づき、被告に対し被告製品に関する取引書類、仕訳帳その他の帳簿の提出を命じた(昭和五六年(モ)第一六六八四号文書提出命令申立事件)のに対し、被告は、<証拠>により明らかなように、その法人税の確定申告書において受注簿、商品受払簿、外交日誌を帳簿として備え付けていることを自ら明記しているにもかかわらず、該当書類の不存在を理由として右帳簿等を提出しなかつた等の本件弁論の全趣旨を総合勘案すれば、前記期間における被告の全商品の総売上高六億八二〇八万四四五四円中、被告製品の占める売上高は少なくとも全体の約一〇分の一相当、六八二〇万円は下らないと認めるのが相当であり、これを覆えすに足る証拠はない。被告は、被告製品の売上高は一三一万七一六〇円であるとして、<証拠>を提出し、被告代表者も右に沿う趣旨の供述をするが、右<証拠>によれば、被告の昭和五五年四月から同五六年三月までの全商品の総売上高(出庫金額合計)は三億六三七一万六一三〇円にしかならず、これは前掲乙第五号証の当該年度の被告自身の法人税の確定申告中の総売上高四億九九二万六八七三円と矛盾するのみならず、右<証拠>によれば、右昭和五五年四月から同五六年三月までの被告製品の総売上高(出庫金額合計)は五二万四四八〇円であり、右同号証による同期間中の全商品の総売上高に対しわずか0.14パーセントの比率を占めるにすぎないことになり、前記のとおり被告の取扱商品が常時一五ないし二〇種類位しかないこと、被告の主な取扱商品のうちぬいぐるみの占める割合が七〇パーセントであつたこと、被告の取扱商品中にはスヌーピーに匹敵する程著名はキャラクター商品は存しないことからすれば、被告製品の全商品に対する売上高の比率がこのような低い数字になることは経験則上到底考えられず、このことに照らせば、<証拠>は措信できない。

2 <証拠>及び本件弁論の全趣旨によれば、本件意匠は、スヌーピーの名称でわが国において広く親しまれている小犬の動物おもちやの意匠であり、この意匠又はこれに類似する意匠の実施に対し通常受けるべき実施料は動物おもちや製品の販売価格の一〇パーセントであると認めるのが相当であるから、昭和五四年四月から同五六年五月末までの間の被告製品の総売上高六八二〇万円に右実施料率一〇〇分の一〇を乗じて得られる六八二万円が被告製品につき通常受けるべき実施料相当額であり、原告は右金額を被告の行為により被つた損害額として、被告に対しその賠償を求めることができる。

(牧野利秋 野崎悦宏 設楽隆一)

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